事業承継税制の特例は延長されるか?

事業承継

2024年の税制改正に向けて

2024年の税制改正に向けて、各省庁が要望を提出しました。

この改正の中心には、経済安全保障の強化、環境への配慮に焦点を当てた長期的な支援策があります。

また、岸田文雄首相の提唱する「構造的な賃上げ」を実現するため、企業の法人税負担を軽減することも要望の一環です。

中小企業支援策として、事業承継税の特例措置の延長を求める経産省の要望もあります。今後、政府と与党の税制調査会はこれらの要望を基に議論し、年末までに税制改正の大綱をまとめる予定です。

 

事業承継税制について

事業承継税制の特例は、2018年度税制改正で時限措置として新設されました。

従来の事業承継税制では、自社株を相続によって引き継いだときに税負担が免除されるのは株式の3分の2のさらに8割にとどまっていました。

そして、事業承継税制・特例では株式の全てについて納税猶予を認め、事業を続ける限りは税負担がゼロになりました。

またそれまでは税優遇を利用できるのは現社長から後継者1人に対する自社株の引き継ぎのみでしたが、特例では最大3人まで後継者を選ぶことができ、現社長以外からの株の引き継ぎについても対象となるなど、使い勝手が向上しました。

それまで事業承継税制の申請件数は年間400件程度でしたが、特例で年間6千件まで増加しています。

現行の事業承継税制特例措置は27年末までの自社株引き継ぎが対象で、その前提として特例承継計画を作成して24年3月末までに提出する必要があります。

経済産業省は計画提出までの期限が1年を切ったことを受け、今夏の税制改正要望で、申請期限、自社株引き継ぎ期限の両方の延長を求めました。

【国税庁】

事業承継税制特集

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm

 

その他の中小企業向け税制の動向

さらに、今年度末に期限が切れる賃上げ促進税制の延長と拡充も要望の一部です。

中小企業などが赤字などの理由で未使用の税額控除を繰り越すことができるようにしたり、仕事と子育ての両立を支援する企業に対して控除率を上乗せすることを提案しています。

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